住民や子供たちが安心して過ごせる環境を目指しました。車が入って来れない安全な「サトヤマ」。楽しそうにキャッチボールに興じる親子、森林浴気分で散歩を楽しんでいる人、庭先でランチや読書をしている人や、そんな風景をただただ眺めてゆったりと過ごしている人など、四季折々の自然を満喫できるこの場所では、思い思いのライフスタイルが生まれます。「サトヤマ」をきっかけに出会い、共に学び、共に過ごす - 安らぎと自然につつまれて暮らしていくうちに、やがて住む人々もそこにはなくてはならない風景の一部へとなっていく… それが、私たちの提案する“懐かしくも新しい「サトヤマ」という暮らし”です。
「サトヤマヴィレッジ」は、北九州市施工による「北九州学術・研究都市北部土地区画整理事業」の一環となるモデル街区整備事業です。そして、北九州市、北九州市立大学、建築家、デザイナー他沢山の方々の協力をもとに進めてきた、いわゆる「産」「学」「官」の連携によって実現しました。
ここはかつて山を切り崩して宅地造成された1.2haの街区に、43戸の戸建住宅と元々豊かにあった自然を再生したこれまでにない住宅地開発です。600本にも及ぶ樹木で雑木林を作り、その周りに家々を配置した姿は、昔ながらの長閑な日本の風景である里山を想わせます。集落とそれを取り巻く雑木林、人と自然が互いに係り合う、その姿が里山であり、これを今回の計画に取り入れようとしたのが「サトヤマヴィレッジ」です。
全ての家には、プライバシー確保や快適な居住性を確保するため、建物配置と窓のコントロールを行った新しい街づくりです。自然の力と住宅を上手に組み合わせることによって、心地よい住環境を創り出すことは日本人の知恵でもありました。夏の陽射しを落葉樹の高木によって遮り、周囲の常緑樹の木立が熱気を吸収した爽やかな風を作り、落葉した樹木越しに冬の陽射しを取り入れ、周囲の常緑樹が冬の厳しい風を和らげる。季節の変化と、自然の効用とうまく付き合うことを、私たちは目指しました。
「サトヤマヴィレッジ」は、ひとつの家では出来ない、集まった分だけ、豊かになる住環境の提案です。